展望台8

韓国総選挙結果と金委員長の訪中

3〜4月は花見の季節だったが、朝鮮半島に世界の目がそそがれた季節でもあった。突然の盧武鉉大統領弾劾決議につぐ弾劾反対デモの波、それにつづく劇的な総選挙結果。きびすを接して金正日委員長の訪中である▲総選挙結果はウリ党が152議席で躍進し、ハンナラ党は121議席で第2党に転落、民主、自民連はそれぞれ9,4議席で消滅の危機。民意ははっきり弾劾決議を拒否した。特筆すべきは民主労働党が10議席、有効投票数の13%を獲得し第3党に躍り出たこと。1961年軍事クーデタ後、初の革新政党国会進出である▲もうひとつ留意すべきは、今回の総選挙で全ての党が対北和解、交流政策を掲げたことだ。そもそもハンナラ、民主の両野党をそそのかして弾劾決議をやらせたのは、盧武鉉大統領の対北和解政策を嫌った米国だった。弾劾の先頭に立ったハンナラまでが、本心はともかくとして対北政策転換を言い出したのは、これ以上民心に逆らえないと読んだからだろう*総選挙結果を通して見えてくるのは、嶺南=ハンナラ党 対 湖南=ウリ党の地域主義構造がだんだん壊れていくだろうということ、政界構図が保守2大政党対決から保革2大政党対決へと進むことも不可能ではなくなったということ、である。南北交流は活発になるだろう。民労党の進出により国会が活性化し、早速イラク派兵中止が論戦の的になる。国家保安法の改廃もいずれ俎上に上る▲南北の民族共助体制は実際上強化されつつある。北の国力強化と民族共助体制の強化は民族力量の強化を意味し、朝米核対決勝利の土台となる。金委員長の訪中は、日本のマスコミ報道とは正反対に、核交渉における朝中連係の強化を図るものだった。親米保守勢力を利用しての対北対決=民族分裂の扇動は失敗。中国を利用しての対北圧迫は主観的願望に過ぎない。いずれも米国は失敗している▲南の一部マスコミは、金正日委員長が今度の訪中で新義州行政特区の問題を話し合ったのではないかと見ている。同特区は朝鮮半島の南北を縦断する京義線が中国大陸横断鉄道と連結する出発地である。工業団地が出現し、外国資本が自由に出入りし、巨大な物流基地となる。国際都市として香港よりはるかに立地条件がよい▲金正日委員長の訪中は、南北がともに大陸に進出する道を開く壮途といえる。故金日成主席は朝鮮戦争中に戦後復興建設の準備を整えた。金正日委員長ははや、朝米核対決勝利後の強盛大国建設に向けて動き出した。                      南圭一 (04,4,24)