【展望台】9

小泉首相再訪朝の裏を読む

小泉日本首相が再び訪朝した。どのつらさげて行くのかと思った。前回訪朝した後、日本は自ら署名した平壌共同宣言も、拉致被害者家族送還に関する朝鮮政府との約束もふみにじった。そればかりか、連日マスコミで悪態の限りを尽くした▲首脳会談で金正日総書記は、平壌宣言があるにもかかわらず事態が複雑化したことに失望したとのべた。小泉首相は過去に朝日関係で好ましくないことがあったことに遺憾の意を表した。普通の言葉に直せば「お前さん、ずいぶんエグいことやってくれたな」「どうもすみません」。会談前にすでに、どちらが優位にあったか、これで分かろう▲極右勢力の反朝鮮騒動に乗る形で戦争体制(有事法体制)はでっち上げた。他方で、平壌に残してきた家族にいつ会わせてくれるのかという、拉致被害者家族らの不満は我慢の限界にきている。参院選挙、年金問題も何とか乗りきりたい。朝鮮政府も、日本政府が弱い立場にいる今が、背信行為を最大限につぐなわせる絶好のタイミングと踏んだに違いない▲しかしながら、小泉首相再訪朝を受け入れた朝鮮政府のねらいは、実のところもっと大きい。それは6者会談で米朝間にくさびを打ち込むことだ。次回6者会談を前に金正日総書記は訪中して両国関係を固めた。ロシアの盟友プーチンは大統領選挙で圧勝した。南でも対北融和をとなえる盧武鉉大統領が総選挙で大勝した。さらに、ここへ日本もひきこんで損はない▲小泉再訪朝で朝日国交正常化交渉が再開されることになった。日本は少なくとも朝日交渉がつづけられている間は、米国の対北強硬策に露骨に同調しにくい。米国は6者会談を提起し、5対1て朝鮮包囲を企んだが、実際は4対2で米国が逆包囲されているのが実状だ。唯一、米国に盲従しているのは日本。その日本までが米国と隙間をつくれば構図は4515で、米国はますます不利になる▲イラク戦争は泥沼化。刑務所でのイラク人虐待暴露。失業者は減らない。ブッシュは対北政策どころでない。大統領選挙後の対米交渉に備えて、北はせっせと対米逆包囲網を築いているのだ▲ブッシュも選挙後は対北妥協策を模索せざるを得まい。だが相手がブッシュだろうと、ケリーになろうと関係ない。要は、北の国力と民族大団結の力を強めることだ。さらに周辺諸国の力を利用できれば言うことなしだろう。金正日総書記は対米勝利をすでに確信している。彼はこれから、国内経済再建に主力を注ぐであろうと見る向きが多くなっている。               南圭一(04.5.24)