【展望台】10

あの米国を想い、この韓国の若者を犠牲に

参院選挙だ。街角のあちこちに「この日本を想い、この国を創る」と大書された小泉首相のポスターが目につく。あるデザイナーが「あの米国を想い、この属国を創る」とパロディをつくった。自民党が名誉毀損で訴えてやると息巻いているとか。小泉首相を指して「米国の忠犬ポチ」などと揶揄する不謹慎なやからもいる▲だが「忠犬ポチ」度では、韓国の歴代指導者の方がはるかに上だろう。盧武鉉大統領も、残念ながら例外ではない。イラクで金鮮一氏が殺害されても派兵強行を決定した。国民の反米感情を押しての協力なのに、韓国は派兵して当たり前というのが米政府の空気だ。自衛隊派遣には機会あるごとに感謝を表明する対日態度とは随分違う▲人質殺害はゆるせない。ただ、どうしても脳裏を去らない疑問がかねてからあった。世論の支持を得られない、あのようなやり方をなぜイラク武装勢力があえてするのか。じつは対テロ戦争を合理化するための米国の謀略だ、とする説をある韓国の記者がが提起している。関心のある人はこのサイトに載っている連合ニュース康鎮旭記者のインタビュー「米国の情報操作に警戒心を」を読んでほしい▲ともあれ、米国がイラク侵略をせず、韓国が派兵をしなければ、あのような悲劇は起こらなかったはずだ。盧武鉉政権は派兵が国益だというが、石油強盗の助太刀が果たして国益なのか。それは我が民族の恥ではないか▲盧武鉉政権は言う。対北抑止力として駐韓米軍に居つづけてもらうには派兵しなくてはならない。核問題を平和的に解決してもらうには派兵せねばない。緊張が高まれば韓国経済は破綻する。戦争でも起きれば万事休す。要するに朝鮮半島の死命を制しているのは米国だから、逆らえない――半世紀以上にわたって植え付けられてきた冷戦思考、事大思想、恐米思想の根深さを思わずにはおれない▲朝鮮半島の平和は米国の善意によって保たれているのではない。それは、北の軍事力によって保たれてきた。クリントンがいったん開戦を決意しながら、シミュレーションの結果を見て和平政策に転じたことは世界中が知っている。いまや北の軍事力に全民族の大団結がプラスされて対米抑止力は一層強化されているのだ▲戦争防止、平和守護、民族経済発展のために必要なのは外勢共助ではなく、民族共助である。「あの米国を想い、この韓国の若者を犠牲にする」、そんな政権を望んで国民は盧氏に投票したのではなかった。盧武鉉大統領よ、今からでも遅くないから、イラク派兵を撤回せよ。         南圭一(04.7.2